「富士通(6702)は量子コンピュータの本命銘柄なのか?」「1,000量子ビット機はいつ稼働するのか?」「直近の決算を踏まえて、いま買い時なのか?」――富士通は日本国内で量子コンピュータ研究を最も先頭で進める企業の一つであり、投資家にとって押さえておきたい論点が多くあります。本記事では、富士通の量子コンピュータの最新進捗(2026年5月時点)、株価・配当の現状、そして投資判断のポイントを総整理します。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
富士通の量子コンピュータ|2026年の最新ニュース速報
まず、ここ数ヶ月の最新トピックから整理します。富士通の量子コンピュータ事業は2026年に入って大きな節目を迎えています。
| 時期 | 主なニュース |
|---|---|
| 2026年3月25日 | 大阪大学と「STARアーキテクチャver.3」を共同開発。化学材料のエネルギー計算が実用見込みに |
| 2026年4月28日 | 本決算発表。株価は4月30日に前日比-13.40%(3,198円)まで急落 |
| 2026年4〜5月 | 量子棟(川崎本社)での1,024量子ビット機公開準備が進行中 |
| 2026年度内 | 1,000量子ビット級超伝導量子コンピュータの稼働・公開予定 |
特に注目すべきは、2026年度内に予定されている1,000量子ビット機の稼働。これは外部ユーザーに提供する量子コンピュータとしては世界最大級になる見通しで、富士通の量子事業にとって最大のマイルストーンです。詳細は富士通・理研の1,000量子ビット計画|2026年度内稼働の意味もご参照ください。
富士通(6702)の基本情報サマリー
投資判断のベースとなる主要指標を確認しておきましょう。
| 項目 | 数値(2026年4月末時点) |
|---|---|
| 株価 | 約3,180〜3,198円(年初来安値圏) |
| 時価総額 | 約5.3兆円 |
| 予想配当利回り | 約1.49〜1.80% |
| 1株あたり年間配当 | 55円(2027年3月期予想) |
| 配当性向 | 約19.6% |
| 予想PER | 約17.8〜20.7倍 |
| PBR | 約2.61〜3.16倍 |
| 権利確定月 | 3月・9月 |
| 本決算発表日 | 2026年4月28日(発表済み) |
株価は2026年初来高値4,668円(1月15日)から3,000円台前半まで大きく調整しており、年初来安値圏で推移しています。1単元(100株)あたり約32万円とNTTより投資ハードルは高めですが、決算発表後の株価調整局面という意味では、長期テーマ投資の検討タイミングとして注目されています。
富士通の量子コンピュータ戦略|世代別ロードマップ
富士通の量子コンピュータ戦略を理解するうえで重要なのが、世代別のロードマップです。同社は理化学研究所(理研)と共同で「理研RQC-富士通連携センター」を運営し、段階的な大規模化を進めています。
| 世代 | 量子ビット数 | 稼働時期 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 第1世代 | 64量子ビット | 2023年10月 | 日本企業初の実機稼働 |
| 第2世代 | 256量子ビット | 2025年4月 | 世界最大級の外部提供機 |
| 第3世代 | 1,000量子ビット級 | 2026年度内 | 量子棟(川崎本社)に設置 |
| 長期目標① | 1万物理量子ビット超 | 2030年度 | 250論理量子ビット動作目標 |
| 長期目標② | 1,000論理量子ビット | 2035年度 | 実用的量子計算の実現 |
富士通の特徴は「世代をまたいで継続的に大規模化する明確な計画」を持っていることです。米国勢(Google・IBM)は1,000量子ビット級チップの開発を発表していますが、外部ユーザーへの実機提供という意味では富士通・理研が世界最大級を維持しています。
「量子棟」と1,000量子ビット機の意義
1,000量子ビット機は神奈川県川崎市の本社「Fujitsu Technology Park」内に建設された専用施設「量子棟」に設置されます。量子棟は2階建て・延床面積約1,000平方メートルの規模で、2025年秋に竣工済み。冷凍機の大型化、配線密度の向上、ユーティリティ設備の充実といった大規模化に必要な技術課題を解決するための専用拠点です。
量子コンピュータの方式比較については量子コンピュータの方式比較|超伝導・イオントラップ・光量子の違いもあわせてご覧ください。
富士通の量子コンピュータ最新進捗(2026年)
2026年3月:STARアーキテクチャver.3を開発(大阪大学共同)
2026年3月25日、富士通は大阪大学と共同で「STARアーキテクチャver.3」を発表しました。これは富士通独自のEarly-FTQC(初期段階の誤り耐性量子計算)アーキテクチャの最新版で、計算精度を従来の10倍以上に向上させた点が特徴です。
ver.3により、創薬分野で重要な酸化酵素(シトクロムP450)、アンモニア合成の触媒タンパク質(鉄-硫黄クラスター)、合成化学のルテニウム触媒など3種の分子のエネルギー計算が、量子ビットエラー率0.10%で約35日、0.01%で約10日まで短縮できる見通しが立ちました。これは「現行コンピュータでは数千年かかる計算を、現実的な時間で実行できる」という極めて重要な技術進展です。
2025年8月:1万量子ビット超の研究開発開始(NEDO採択)
富士通は2025年8月、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「量子コンピュータの産業化に向けた開発の加速」事業に採択され、2030年度に1万物理量子ビット超の超伝導量子コンピュータ構築を目指す研究開発を開始しました。事業期間は2027年度まで、産業技術総合研究所・理化学研究所との共同研究で進めています。
ダイヤモンドスピン方式での進展(2025年3月)
富士通はオランダのデルフト工科大学およびQuTechと共同で、超伝導方式とは別系統のダイヤモンドスピン方式の研究も進めています。2025年3月には、大規模化に必要なエラー確率0.1%未満の高精度量子ゲート操作に世界で初めて達成しました。超伝導方式とダイヤモンドスピン方式の接続も将来的な視野に入れています。
富士通株の魅力ポイント
1. 日本量子テーマ株の最有力本命
富士通は、量子コンピュータ研究のハードウェア・ソフトウェア両面で日本のリーダーであり、ピュアプレイ的な存在感を持つ大手企業として希少な存在です。NTTが光量子方式、日立がシリコン方式を進めているのに対して、富士通は超伝導方式とダイヤモンドスピン方式の両方を進めており、量子コンピュータ単体での研究成果のニュースが他社より圧倒的に多いのが特徴です。
2. 高市政権「重点投資対象17分野」の追い風
2026年に発足した高市政権では量子コンピュータが「重点投資対象17分野」に組み込まれ、国家プロジェクトとしての量子コンピュータ開発が加速しています。富士通はNEDO事業の主要な受注先であり、国策テーマの直接的な恩恵を受けやすい立場にあります。詳細は高市政権「重点投資対象17分野」量子コンピュータ関連の追い風と銘柄もご参照ください。
3. ROEは15%超と本業も健全
量子コンピュータ単体の収益化は2030年以降の長期テーマですが、富士通の本業(ICTソリューション事業)は予想ROE約15.30%、ROAも実績9.12%と高水準。米国のピュアプレイ銘柄が赤字続きの中、富士通は本業の収益で量子研究開発を支える体力があります。
富士通株の懸念点とリスク
1. 直近の株価急落と決算後の調整局面
2026年4月30日、富士通株は前日比-13.40%(3,198円)まで急落しました。本決算(4月28日発表)の業績ガイダンスや今後の見通しに対する市場の評価が反映されたものと見られます。年初来安値圏での推移が続く可能性もあり、短期的な値動きには注意が必要です。投資にあたっては量子コンピュータ株 暴落リスクと対処法の観点も持っておくことをおすすめします。
2. 配当利回りはやや控えめ
予想配当利回り1.49〜1.80%は日本の高配当株と比べて中位レベルで、配当性向も約19.6%と低めです。配当狙いの投資というより、量子テーマの長期成長を取りに行く銘柄として位置づけるのが現実的です。配当狙いならNTT(9432)量子コンピュータ戦略の方が利回り面で優位です。
3. 量子コンピュータ事業の収益貢献はまだ限定的
1,000量子ビット機が2026年度内に公開されても、富士通全体の業績へのインパクトは限定的です。本格的な産業応用は2030年度以降を想定しており、量子テーマの成果が決算数値に反映されるのは数年先になります。短期での値幅取りには不向きで、5〜10年スパンの長期保有戦略との相性が良い銘柄です。
富士通 vs NTT・日立|日本量子テーマ株の比較
| 企業 | 主な方式 | 強み | 配当利回り | 株価水準 |
|---|---|---|---|---|
| 富士通(6702) | 超伝導方式・ダイヤモンドスピン方式 | 1,000量子ビット計画・STARアーキテクチャ | 約1.5〜1.8% | 約3,180円 |
| NTT(9432) | 光量子方式 | 光通信技術・IOWN統合 | 約3.5% | 約151円 |
| 日立(6501) | シリコン方式 | 長期研究・スケーラビリティ | 約1.5%前後 | 個別確認推奨 |
各社の戦略については、NTT(9432)量子コンピュータ戦略、日立製作所の量子戦略もあわせてご覧ください。
富士通株はいま買い時か?投資家視点での判断材料
個別の「買い・売り」の判断は投資家それぞれの状況によりますが、以下の観点を整理しておくと判断しやすくなります。
- 株価水準:年初来高値4,668円→4月末3,198円。年初来安値圏で推移しており、長期目線では検討余地のある水準
- 1,000量子ビット機公開イベント:2026年度内(〜2027年3月)の公開タイミングが量子テーマ材料の中心
- 本決算後の動向:4月28日の決算発表後の市場反応を踏まえた中期見通しの確認が重要
- 長期テーマ投資:2030年度の1万量子ビット、2035年度の1,000論理量子ビットという時間軸を意識
短期での値幅取りより、長期テーマとして保有しながら量子コンピュータの社会実装フェーズの恩恵を狙う投資戦略との相性が良い銘柄です。長期目線でのポートフォリオ組成については量子株 ポートフォリオ構成例【保守型・積極型】も参考になります。
富士通株(6702)の買い方
富士通株は東証プライム上場銘柄であり、国内のほぼすべての証券会社で取引可能です。100株単位で約32万円が必要なため、NISA成長投資枠での購入も選択肢となります。
量子テーマで投資をするなら、富士通のような日本株だけでなく、米国の量子ピュアプレイ銘柄(IonQ・QBTS・RGTIなど)と組み合わせた分散投資が効果的です。日本株と米国株を一つの口座でまとめて管理したい場合、日本株の取引手数料無料で米国株手数料も低水準なmoomoo証券を活用するのも一つの選択肢。日本の量子大手(富士通・NTT・日立)と米国ピュアプレイ銘柄を併せ持つ戦略との相性が良い証券会社です。
富士通株を含めた量子コンピュータ関連株の購入手順については、量子コンピュータ株の買い方|SBI・楽天・moomoo証券で購入する手順で詳しく解説しています。
まとめ:富士通は「日本量子テーマの本命」だが、長期保有が前提
富士通(6702)は、日本の量子コンピュータ関連株の中で以下の3点で他にない位置づけにあります。
- 1,000量子ビット機を2026年度内に公開予定の世界最先端レベルの開発力
- STARアーキテクチャver.3で創薬・新素材分野の実用計算が見えてきた
- NEDO国家プロジェクトの主要受注先として国策テーマの追い風を直接受けられる
一方で、配当利回りは控えめで、量子事業の本格的な収益貢献は2030年以降の長期テーマです。直近の株価急落も含めて、5〜10年スパンの長期投資として保有する戦略との相性が良い銘柄と言えます。短期売買より、量子コンピュータの社会実装が進む過程を株価成長として享受したい個人投資家に向いています。
その他の量子関連株と組み合わせる場合は、量子コンピュータ関連株まとめ【日本・米国】2026年版で全体像を把握することをおすすめします。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を行うものではありません。記載の数値は2026年4月末〜5月初旬時点の公開情報をもとにしており、市場環境の変化によって変動します。最新の情報は各社のIR資料や証券会社の銘柄ページでご確認のうえ、投資判断はご自身の責任で行ってください。
最終更新:2026年5月4日


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