【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘・助言するものではありません。投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。株式投資には元本割れのリスクがあります。
国産量子コンピュータの開発において、日本で最も存在感を示しているのが富士通(証券コード:6702)です。理化学研究所(理研)との共同開発を軸に、2026年度内に1,000量子ビット超のシステム稼働を目指しています。本記事では、富士通の量子コンピュータ戦略の全体像と、投資家として注目すべきポイントを解説します。
富士通の基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 富士通株式会社 |
| 証券コード | 6702(東京証券取引所プライム市場) |
| 事業内容 | ITサービス・システム・量子コンピュータ・AI・クラウド |
| 量子方式 | 超伝導方式(理研と共同開発) |
| 主な量子パートナー | 理化学研究所・大阪大学・東京大学 |
| 量子事業の特徴 | ハード開発+ソフトウェア・クラウド展開の両輪 |
量子コンピュータ戦略の全体像
富士通の量子コンピュータ戦略は、「ハードウェアの国産化」と「ソフトウェア・クラウドでの収益化」を両輪で進める点が特徴です。
3つの柱
- ① 量子ハードウェアの開発: 理研との共同研究で超伝導方式の量子プロセッサを開発。量子ビット数と精度の両面で着実に進展しています。
- ② 量子ソフトウェアの展開: 量子計算を実際のビジネス課題に適用するためのアルゴリズム・開発ツールを提供。「Fujitsu Quantum Simulator」などのシミュレーターも展開しています。
- ③ クラウド経由での提供: 量子コンピュータを自社所有せずにクラウド経由で利用できる環境を整備。2026年3月に国産機「叡-Ⅱ」のクラウドサービスが正式開始されました。
主要マイルストーンと開発ロードマップ
| 時期 | 達成・目標内容 | 評価 |
|---|---|---|
| 2023年 | 理研と共同で64量子ビット機を公開。国産初の本格的超伝導量子コンピュータ | ✅ 達成済み |
| 2026年3月 | 理研・大阪大学と共同開発した144量子ビット機「叡-Ⅱ」のクラウドサービス正式開始 | ✅ 達成済み |
| 2026年度内 | 1,000量子ビット超の超伝導量子コンピュータ稼働 | 🔄 目標中 |
| 2027〜2028年 | 誤り訂正機能を持つフォールトトレラント量子コンピュータの実証 | 📋 計画中 |
| 2030年代 | 量子コンピュータを活用した実用ビジネスソリューションの本格展開 | 📋 長期目標 |
2026年3月の「叡-Ⅱ」クラウドサービス開始は、国産量子コンピュータが「研究段階」から「実際に使える段階」へ移行した象徴的な出来事です。今後は1,000量子ビット機の稼働が次の注目点となります。
量子ソフトウェア・クラウドの強み
富士通がIonQやRigettiのような米国ピュアプレイ企業と異なる点は、量子ソフトウェアとクラウドの開発力にあります。
主要なソフトウェア・サービス
- Fujitsu Quantum Simulator: 量子コンピュータをシミュレートするソフトウェア。実機がなくてもアルゴリズムの開発・検証が可能です。
- 量子インスパイアード技術: 完全な量子コンピュータがなくても「量子に近い」計算を古典コンピュータで実現する技術。現時点で企業への導入が最も進んでいる領域です。
- Fujitsu Research Portal(量子クラウド): 研究機関・企業が量子コンピュータをクラウド経由で利用できるプラットフォーム。
業績と量子事業の位置づけ
富士通全体の業績を確認した上で、量子事業の位置づけを理解することが重要です。
| 指標 | 概況(2025年度) |
|---|---|
| 連結売上高 | 約3.8兆円(ITサービスが主力) |
| 営業利益率 | 約10%台(安定した収益体質) |
| 量子事業の売上比率 | 現時点では極めて小さい(研究開発投資段階) |
| 研究開発費 | 年間約1,500億円規模(量子は一部) |
| 配当 | 継続的な配当実績あり |
富士通株への投資においては、量子事業は「将来の成長ドライバー」として評価されますが、現時点での業績への直接的な寄与は限定的です。ITサービス事業の安定収益が株価を支えており、量子事業はオプション価値として捉えるのが現実的です。
投資家視点|注目ポイントとリスク
注目ポイント
- 国策の恩恵:政府の量子技術戦略の中核企業として、補助金・共同研究・政府調達の恩恵を受けやすい
- ソフトウェア先行:量子インスパイアード技術で「今すぐ使える」ソリューションを提供中。量子本格化前から収益化が進んでいる
- 安定した財務基盤:ITサービス事業の安定収益があるため、量子開発の長期投資に耐えられる財務体力がある
- グローバル展開:欧米の研究機関・企業との連携も進んでおり、国内だけでない市場開拓を目指している
リスク
- 量子事業の売上はまだ小さい:全社業績への影響は現時点では限定的。量子テーマとしての株価プレミアムには注意
- 技術開発の遅延リスク:1,000量子ビット機の開発が遅れた場合、投資家の期待に応えられない可能性
- 国際競争:IBMやGoogleの技術が急速に進歩した場合、国産機の競争力が問われる
富士通株(6702)は東京証券取引所プライム市場に上場しており、国内の証券口座から購入できます。米国の量子ピュアプレイ株と組み合わせて保有することで、リスクを分散しながら量子テーマへの投資が可能です。米国株も含めた量子関連ポートフォリオの構築には、moomoo証券のような国内外の株式を一元管理できる環境が便利です。
NEC・日立・NTTとの比較
| 企業 | 証券コード | 量子方式 | 強み | 量子事業の進捗 |
|---|---|---|---|---|
| 富士通 | 6702 | 超伝導 | 理研との共同開発・量子ソフト先行 | ◎ 国内最先頭 |
| NEC | 6701 | 超伝導・アニーリング | 政府連携・セキュリティ実績 | ○ 着実に前進 |
| 日立製作所 | 6501 | シリコンスピン | 独自方式・超長期目標 | △ 長期開発段階 |
| NTT | 9432 | 光量子 | 通信インフラとの融合 | ○ 独自技術で差別化 |
日本の量子関連株全体の詳細は量子コンピュータ関連株まとめ【日本・米国】2026年版をご覧ください。
まとめ
- 富士通は理研との共同開発を軸に、国産量子コンピュータ開発の最前線に立っている
- 2026年3月に144量子ビット機「叡-Ⅱ」のクラウドサービスが正式開始。研究段階から実用段階へ移行
- 量子インスパイアード技術で「今すぐ使える」ソリューションを提供しており、量子本格化前から収益化が進んでいる
- 全社業績は安定しており、量子開発への長期投資に耐えられる財務体力がある
- 日本の量子関連株の中では最も進捗が速く、国策の恩恵を最も受けやすい企業の一つ

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