【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘・助言するものではありません。投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。
量子コンピュータは今や「民間企業だけの競争」ではなく、国家が戦略的に投資する安全保障・産業競争力の核心テーマになっています。日本政府も大規模な予算と政策を打ち出しており、これを理解することは日本の量子関連株を投資判断する上でも重要です。本記事では、日本の量子技術戦略の全体像と投資家が注目すべきポイントを整理します。
日本の量子戦略の全体像
日本政府は2020年に「量子技術イノベーション戦略」を策定し、量子コンピュータ・量子通信・量子センサーを国家重点分野として位置づけました。その後2022年に改定版を公表し、より具体的な目標と予算が設定されています。
戦略の3本柱
- 量子コンピュータの国産化:理化学研究所・富士通・NEC等を中心とした国産量子機の開発
- 量子通信・量子暗号:安全保障上重要な量子鍵配送(QKD)ネットワークの整備
- 量子センサー:計測・医療・防衛への応用
予算・補助金の規模
日本政府は量子技術分野に対して、複数の省庁・ファンドを通じて大規模な資金を投入しています。
| 施策・ファンド | 規模(目安) | 主な対象 |
|---|---|---|
| 内閣府「量子未来社会ビジョン」関連予算 | 数百億円規模/年 | 研究機関・大学・企業への補助 |
| 科学技術振興機構(JST)量子リープ | 10年間で約700億円 | 量子コンピュータ・量子通信の基礎研究 |
| 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) | 複数年にわたる助成 | 産業応用・企業との共同開発 |
| 経済安全保障推進法(特定重要技術) | 5,000億円超(技術全体) | 量子を含む重要技術の国産化支援 |
これらの補助金・助成金は民間企業との共同研究や実証実験の形で配分されており、NEC・富士通・日立・NTTなどの大手企業が主な受益者となっています。
国内主要プレイヤーと国策の恩恵
日本の量子コンピュータ開発は、民間企業と公的研究機関の連携で進んでいます。投資家として注目すべき主要プレイヤーを整理します。
富士通(証券コード:6702)
理化学研究所(理研)と共同で超伝導量子コンピュータを開発。2023年に64量子ビット機を理研と共同公開し、2026年度内に1,000量子ビット超のシステム稼働を目指しています。また2026年3月には理研・大阪大学と共同開発した144量子ビットの国産量子コンピュータ「叡-Ⅱ(エイツー)」のクラウドサービスが正式開始されました。量子ソフトウェア開発でも先行しており、国内最有力の量子株の一つです。
NEC(証券コード:6701)
国内で最も早く量子コンピュータ研究を始めた企業の一つ。超伝導方式の量子アニーリングと量子ゲート方式の両方に取り組んでいます。政府・研究機関との連携実績が豊富で、経済安全保障の観点から国の支援を受けやすい立場にあります。
日立製作所(証券コード:6501)
2030年度までに1メガビット(100万量子ビット)級のシリコン型量子コンピュータの開発を目標に掲げています。独自のシリコンスピン方式を採用しており、室温動作に近い環境での実現を目指しています。超長期視点での開発投資が特徴です。
NTT(証券コード:9432)
光量子コンピュータの新方式「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想の中で量子通信・量子コンピューティングの研究を推進。光量子方式での独自技術開発に成功したと報告されており、量子通信分野での存在感が高まっています。
理化学研究所(理研)
日本の量子コンピュータ研究の中核を担う公的研究機関。富士通・大阪大学との共同開発をリードしており、クラウド型の量子計算サービス提供も行っています。直接投資はできませんが、理研との共同開発に携わる企業への投資という形で間接的に恩恵を享受できます。
2026年の主要マイルストーン
2026年は日本の量子技術にとって重要な節目の年です。
| 時期 | イベント | 関連企業・機関 |
|---|---|---|
| 2026年3月 | 144量子ビット国産量子コンピュータ「叡-Ⅱ」クラウドサービス正式開始 | 理研・富士通・大阪大学 |
| 2026年度内 | 1,000量子ビット超の超伝導量子コンピュータ稼働目標 | 富士通・理研 |
| 2026年度 | 量子技術革新戦略の中間評価・見直し | 内閣府・文部科学省 |
| 2026年末 | IBMの量子アドバンテージ実証目標(グローバル) | IBM(参考:グローバル動向) |
米国・中国・欧州との比較
日本の量子投資規模を国際的な文脈で見ると、以下のような位置づけになります。
| 国・地域 | 量子技術への公的投資(累計目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 米国 | 30億ドル超(NQI法など) | 民間投資も旺盛。IonQ・IBMなど上場企業多数 |
| 中国 | 100億ドル超(推定) | 国家主導で大規模投資。詳細は非公開 |
| EU | 10億ユーロ(量子フラッグシップ) | 欧州全体での研究ネットワーク構築 |
| 日本 | 数千億円規模(複数施策合計) | 産学官連携。富士通・NEC・理研が中核 |
投資規模では米国・中国に後れをとっているものの、材料科学・精密加工・光学など量子技術の周辺分野では日本の強みが生きる領域もあります。「つるはし銘柄」の観点では、日本企業が競争優位を持てる可能性があります。
投資家視点|国策テーマとして見るポイント
国策銘柄の基本的な考え方
「国が力を入れている技術=株価が上がる」とは限りませんが、補助金・共同研究・政府調達という形で企業の研究開発コストが一部カバーされることは、財務的なプラス要因になります。
注目すべき3つのシナリオ
- 国産量子コンピュータの実用化成功:富士通・NECへの評価上昇。政府調達の拡大
- 量子通信インフラの整備加速:NTTへの恩恵。光量子技術での差別化
- つるはし産業の需要拡大:冷却・計測・光学など周辺産業への補助・発注増
量子コンピュータ関連の日本株・米国株への投資を検討する際は、リアルタイムの情報収集環境が重要です。moomoo証券では、国内外の量子関連銘柄の株価・財務情報・ニュースをまとめて確認できます。
まとめ
- 日本政府は「量子技術イノベーション戦略」のもと、数千億円規模の公的投資を量子技術に投入中
- 国内主要プレイヤーは富士通・NEC・日立・NTT。いずれも量子事業以外の収益基盤を持つ大企業
- 2026年3月に国産量子コンピュータ「叡-Ⅱ」のクラウドサービスが正式開始。国産化が着実に前進
- 投資規模では米国・中国に後れをとるが、周辺産業(材料・光学・精密加工)での日本の強みにも注目
- 国策テーマとして中長期の視点で向き合うことが重要
日本の量子関連株の詳細は量子コンピュータ関連株まとめ【日本・米国】2026年版もあわせてご覧ください。

コメント