免責事項:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の投資勧誘・投資助言ではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。記載内容は2026年5月時点の公開情報に基づいています。
「IonQやRigettiは値動きが激しすぎて怖い。でも量子コンピュータの成長は取りこぼしたくない」――そう考える個人投資家にとって、いま最も注目すべき選択肢の一つがAlphabet(GOOGL/GOOG)です。Googleの親会社である同社は、2024年12月にWillowチップを発表したあとも、量子優位性の実証・外部研究者向け早期アクセスの開始・中性原子方式への参入と、矢継ぎ早に布石を打ち続けています。
本記事ではAlphabetの量子戦略を、個人投資家が押さえておきたい5つのポイントで整理します。
1. Alphabetが「量子で負けても困らない」理由
Alphabetの量子戦略を理解する出発点は、同社が「赤字部門を10年抱えても困らない財務体力」を持っているという事実です。2025年第3四半期の決算では、売上高が約1,020億ドル、フリーキャッシュフローが約245億ドルに達したと報告されています。
IonQ・Rigetti・D-Waveといったピュアプレイ銘柄(量子コンピュータ専業の上場企業)は、量子の実用化が遅れれば資金繰りに直結します。一方Alphabetの場合、検索広告・YouTube・Google Cloud・GeminiといったAI/クラウド本業のキャッシュフローが量子部門の研究開発を10年単位で支えられるため、商業化のタイミングがズレても株価が破綻するリスクは桁違いに小さい。これがバークシャー・ハサウェイなど大手機関投資家がAlphabetを「量子の本命」として選ぶ最大の理由です。
2. Willowチップが達成したこと(おさらい)
Googleが2024年12月に発表したWillowは、105量子ビットを搭載した超伝導方式のプロセッサです。最大の成果は2点に集約されます。
- 誤り訂正の指数的抑制:量子ビット数を増やすほどエラー率が指数的に下がることを実証。30年来の量子コンピュータ研究の難題を一つクリアしたとされます。
- 古典スパコンを大きく上回る計算速度:ランダム回路サンプリングのベンチマークで、最先端スパコンが10の25乗年(宇宙年齢を遥かに超える時間)を要する計算を5分未満で実行。
Willowチップそのものの解説は GoogleのWillowチップとは?量子コンピュータ覇権争いの最前線 で詳しく取り上げています。
3. Googleの6マイルストーン・ロードマップと現在地
Googleは2020年に「使える誤り訂正量子コンピュータ」までの道のりを6つのマイルストーンに分けて公開しています。投資家としては、各段階で何が達成され、何が残っているかを把握することが、長期での株価評価のヒントになります。
| 段階 | マイルストーン | 達成状況(2026年5月時点) |
|---|---|---|
| 1 | 古典超越(量子超越性の実証) | 2019年達成(Sycamore) |
| 2 | 誤り訂正された量子ビットの試作 | 2023年達成、Willowで強化 |
| 3 | 長寿命な論理量子ビットの構築 | 現在挑戦中 |
| 4 | 論理ゲートの実装 | 未着手 |
| 5 | 論理量子ビットを束ねた工学スケール機 | 未着手 |
| 6 | 100万量子ビット級の誤り訂正量子コンピュータ | 2030年前後を目標 |
※論理量子ビットとは、複数の物理量子ビットを束ねて誤り訂正を施した「実用に耐える1ビット」のこと。実用機の構築には数百〜数千の物理量子ビットを束ねた論理量子ビットが多数必要だとされます。
Google Quantum AIの責任者ハートマット・ネーベン氏は、商業的に有用な量子コンピュータが今後5〜10年以内に登場する可能性に繰り返し言及しています。投資家としては「2030年前後に本命到来」を前提に、Alphabetを長期保有するシナリオが現実的です。
4. Willow後の最新動向(2025〜2026年)
4-1. Quantum Echoesアルゴリズム:ソフトウェア・トラックの第一勝
2025年10月、GoogleはWillow上で「Quantum Echoes」と呼ばれる新アルゴリズムを実行し、世界最速級のスーパーコンピュータより約13,000倍速い物理シミュレーションを達成したと発表しました。これは6マイルストーンのうち、初めてソフトウェア・トラックでの量子優位性を検証可能な形で示した成果と位置づけられています。
Quantum Echoesの特筆すべき点は、核磁気共鳴(NMR)分光法など実際の科学計測機器に応用できる可能性が示されていること。技術的成果が「実用への入口」に近づいたという意味で、Willowに続く重要なニュースです。量子優位性の概念整理は 量子優位性(Quantum Advantage)とは?2026年の達成は近いのか をご覧ください。
4-2. Willow早期アクセスプログラムの開始
2026年4月、GoogleはWillowへの外部研究者向け早期アクセスを募集すると発表しました。これまでWillowの利用はほぼ社内限定でしたが、今後は厳選された研究プロジェクトに対してハードウェアを開放します。同年12月には英国の国立量子コンピューティングセンター(NQCC)経由で、英国研究者にもWillowへのアクセスが解放されています。
これは、IBMが「IBM Quantum」、Amazonが「AWS Braket」を通じて積極的に外部開放してきた流れに、Googleもようやく本格参戦したことを意味します。クラウド経由の量子提供はGoogle Cloudの法人顧客に量子オプションを提示する布石でもあり、収益化への重要な一歩です。各社の量子クラウドの比較は 量子クラウド(QCaaS)とは?IBM・Google・Amazonを比較 で解説しています。
4-3. 中性原子方式への参入(デュアルトラック化)
2025年〜2026年にかけて、Googleは中性原子(ニュートラルアトム)方式の量子コンピュータ開発チームを米コロラド州ボルダーに新設したと報じられました。この分野の第一人者であるアダム・カウフマン博士を採用し、10名規模からスタート。今後24か月以内に100量子ビット級の中性原子プロセッサを実証することが期待されています。
中性原子方式は、PasqalやAtom Computingなど欧米スタートアップが先行している有望方式で、Microsoftが賭けるトポロジカル方式と並び「次の量子主流候補」とされる方式です。Googleが超伝導一本足から「デュアルトラック」へ戦略転換したことは、競合のIBMやAmazonにも影響を与えると見られます。各方式の違いは 量子コンピュータの方式比較 をご覧ください。
5. 投資家から見たGOOGL:量子株としての魅力と注意点
5-1. 「量子の保険」としての魅力
米国の投資メディア(モトリーフール、TipRanksなど)は、Alphabetを量子コンピュータへの低リスク投資と位置づける論調が目立ちます。理由は明快で、量子が商業化されてもされなくても、検索・広告・クラウド・AIの本業が株価を支えるためです。
2026年5月時点でAlphabetの株価収益率(PER、株価÷一株あたり利益で計算する割安度の指標)は約26倍と、テック平均(約41倍)を大きく下回っているとの分析もあります。バークシャー・ハサウェイが2025年9月四半期に同社株1,780万株超を取得するなど、機関投資家からの評価も追い風になっています。
5-2. ピュアプレイ銘柄との「役割分担」
IonQ・Rigetti・D-Waveといったピュアプレイ銘柄は、量子の商業化が成功すれば数十倍のリターンが狙える反面、失敗すれば株価が大きく毀損するテンバガー型の投資対象です。これに対しAlphabetは、量子で大きく勝てば「上振れボーナス」、勝てなくても本業で守られる「コア・ホールディング型」の銘柄。
つまり、ポートフォリオの中でAlphabetをコアとしつつIonQ・QBTSなどのピュアプレイをサテライトとして組み合わせる形が、量子テーマの王道戦略になります。具体的な配分例は 量子株 ポートフォリオ構成例【保守型・積極型】 を参照してください。
5-3. 注意点:量子部門の発表頻度は限られる
Alphabetを量子テーマで保有するうえでの注意点は、量子部門からのニュース発表が年1〜2回程度に留まることです。WillowやQuantum Echoesのような大型発表のタイミング以外では、量子のニュースで株価が大きく動くシーンは多くありません。短期で「量子の値動き」を取りに行きたい投資家には物足りなさがある点は理解しておきましょう。
6. GOOGLの買い方:日本の個人投資家向け
Alphabet株は米国市場(NASDAQ)に上場しており、日本からはSBI証券・楽天証券・マネックス証券・moomoo証券などで購入できます。NISA成長投資枠の対象でもあり、長期保有を前提とする投資家にとって有力な選択肢です。米国株の取引手数料・為替コストは証券会社によって異なるため、口座を選ぶ際には事前の比較が欠かせません。
米国株の手数料・為替コストの詳細比較は 米国量子株の買い方|SBI・楽天・moomooの手数料比較 をご覧ください。
まとめ:Alphabetは「待ちながら稼げる量子株」
- Alphabet(GOOGL)は、量子コンピュータへの低リスクな投資手段として機関投資家から支持を集めている
- Willow発表後も、Quantum Echoesアルゴリズム・早期アクセスプログラム・中性原子方式参入と、布石を矢継ぎ早に打っている
- 6マイルストーンのうち現在は3段階目に挑戦中、商業化のメドは2030年前後
- ピュアプレイ銘柄との組み合わせで「コア+サテライト」のポートフォリオを組むのが王道
量子コンピュータの成長を取りこぼしたくないが、ピュアプレイ銘柄の値動きには付き合いきれない――そんな個人投資家にとって、Alphabetは「待ちながら稼げる量子株」として独自のポジションを持っています。
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・量子株 ポートフォリオ構成例【保守型・積極型】
・量子優位性(Quantum Advantage)とは?2026年の達成は近いのか
免責事項:本記事は公開情報に基づく情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。記載した数値・スケジュールは2026年5月時点のものであり、最新情報は各社IR・決算資料・公式ロードマップ等の一次情報をご確認ください。


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